音を集めて

ロックとポップスを聴いて育った渋谷系好きの生活の記録

風街ろまん / はっぴいえんど:古き良き日本の風景

記念すべき第1回のディスクレビュー。やはりこれから始めなければ・・・!

 

 

風街ろまん

風街ろまん

 

 

 

www.youtube.com

 

風街ろまん / はっぴいえんど

 

はっぴいえんどは1969~1973年に活動した、大瀧詠一細野晴臣鈴木茂松本隆という4人から成るニッポンを代表するロックバンドである。

本作は彼らの2ndアルバムであり、知らない方も細野さんによる「#3 風をあつめて」は聞いたことがあるかもしれない。

 

 

 

総評 

「#7 夏なんです」で聴こえるような「田舎の白い畦道で・・・」と言った松本さんの詞は、美しい日本の風景を感じさせる。

少し美化されすぎているとも言えるその風景は、現代においては特に「美しい日本」として聞こえるのでないだろうか。

その一方で「#5 はいからはくち」で聞かれるような遊び心をロックサウンドに乗せた音楽はまさしく日本語ロック*1だと頷ける。

美しさと激しさを、時に真面目に時に戯けて聞くことのできる豊かなアルバム。

 

  

おすすめな人

  • 王道を聞いておきたい人
  • コーラスがすきな人
  • James Taylorなどのカントリー調の曲はすきだが、日本のフォークはそれほど・・・な人

 

 

曲目

#1 抱きしめたい

#2 空いろのくれよん

#3 風をあつめて

#4 暗闇坂むささび変化

#5 はいからはくち

#6 はいから・びゅーちふる

#7 夏なんです

#8 花いちもんめ

#9 あしたてんきになあれ

#10 颱風

#11 春らんまん

#12 愛餓を

 

※初回だからと張り切って曲目レビューを書いてしまった・・・。 

 

#1 抱きしめたい

拍の曖昧なイントロが印象的な一曲。全体を通してもベースが良く動いており、リズムが心地よい。

アコースティックな曲調を主体としながらも、そのリズムへのこだわりと歪んだギターの音色は彼らがロックバンドであること証明しているかのようだ。

 

#2 空いろのくれよん

くれよんという柔らかい響きが優しい音色に乗ってやってくる。全体を通して聞けるのはThe Beatles のI Need You で有名なヴァイオリン奏法*2

だろうか?(知っている方いたら教えてください)

大瀧さんのファルセットがとても心地よい一曲。

 

#3 風をあつめて

声が低いため「ロックボーカルに向かない」と自称していた細野さんの導き出した答えがこの曲である。

路面電車、緋色の帆、蒼空といった美しい日本語が気の抜けた優しい歌声とギターに乗って響いていく。

この雰囲気を堪能できるのは日本人の特権であるw そんな至極の名曲。

 

#4 暗闇坂むささび変化

マリンバの音色が心地よいカントリー調の一曲。終始細野さんと大瀧さんのコーラスが続いており、歌詞が面白い。

ちなみに暗闇坂とは麻布十番に実際にある坂のことであり、木々に囲まれて暗闇だったらしい(現在ではそれほど暗闇でなかったが・・・)。

 

#5 はいからはくち 

アルバムで最もアップテンポなチューンである。

ドラムとバッキングギターから一見単純に聞こえるが、様々に移り変わるパーカッションとコーラス、ボーカルの振り分け、シンコペーションを多用したベースなどが曲に彩りを与えている。

そしてイントロの坂内多羅尾や、繰り返されるハイカラ白痴、肺から吐く血。サウンドはかっこいいのにふざけている、このギャップが最高にかっこいい。

 

#6 はいから・びゅーちふる

ギター、スライドギターとコーラスのみ。最後だけ「びゅーちふる」なのが上手い。

 

#7 夏なんです

圧倒的にお洒落な夏である。森の中の木陰で涼んでいるイメージだw

落ち着かせてくれないコード進行やリフが印象的で、一曲全体を通して浮遊感が付きまとう。終始気のない歌声で歌い、「ルルル〜」のハーモニーなどもそれを加速させているのかもしれない。

 

#6 花いちもんめ

ギタリスト鈴木茂の一曲。

Aメロはギターリフを中心としており、サビでもギターが良いトーンを聴かせてくれる。

面白いのはサビのコーラスで、主メロディはすべて同じなのにハモりはすべて異なっている。この曲に限らず、はっぴいえんどは2声でも単純でないコーラスが多い。

  

#7 あしたてんきになあれ

裏声と初っ端の歌詞が少し怖い曲。

大瀧さんはファルセットが好きなようで、それはこの曲やくれよんに現れている通りだ。

地味にギターが良く鳴っており、鈴木茂の細いようで太いサウンドが堪能できる。

 

#8 颱風

台風ではなく、耐風。

少しブルージーな雰囲気のある、重いロックサウンド。ハードロック曲だろうか。

編成はシンプルで、大瀧さんのボーカルと鈴木茂のハードロックギターが堪能できる。「来るよ、また来るよ・・・ほーら、来たあ!」はとても可愛い。

 

 

 #11 春らんまん

明るい曲調の一曲。

この曲も終始大瀧さんと細野さんのコーラスが響いている。

「#1 抱きしめたい」のように、アコースティックな曲調ながらもリズムは非凡であり、それがロックになれたリスナーを退屈にさせない。

 

 

#12 愛餓を

最高の遊び心が入った一曲。小学校とかで流さないかなあ・・・。

 

 

 

以上です。是非聞いてみてくださいねっ。

*1:当時、ロケンローな方に「日本語でロックは歌えるのか?」と言う論争をふっかけられていたという

*2:ギターの奏法の一つで、ボリュームペダルという足で音量を調節するエフェクター(機械)を用いて行われる。音量が低い状態でギターを弾き、徐々に音量を上げていくことで柔らかい音色を実現する。