First Love / 宇多田ヒカル：最後の歌姫

ディスクレビュー2枚目は、日本で一番売れたアルバムのこちら。

このアルバムは宇多田ヒカルのデビューアルバムであり、当時15歳という驚くべき若さである。

帰国子女、15歳という若さ、日本人離れした歌唱力、作詞作曲を自ら行う能力と、非常に分かりやすい「才能」を持っており、ヒットするのも頷けるというものだ。

過度に装飾しない伴奏とハスキーな宇多田ヒカルの歌声を堪能できるアルバム。「商業主義のアルバム」と食わず嫌いしている方がいたら、ぜひ聞くべきである。彼女があれほど鮮烈なデビューを果たしたのは必然だと思えるほどに、このアルバムは完成されている。

サウンドは電子楽器を主体としたものであるが、方向性としてはブラックミュージックを目指したものである。

それによって機械っぽさや黒さが鼻に付くことはなく、キャッチーに響いている。

歌詞に関しては、色恋に関しての内面を歌ったものとなっている。15歳ならではという感じがしなくもないが、やはり少し大人びていないか？

彼女のあの歌声には大人の色気しか感じられないからかもしれないが・・・笑

#5　甘いワナ〜Paint it, Black

地味に埋もれていないだろうか、この曲。筆者にとっては、正直むちゃくちゃいい曲である！

ファンクギターがカッティングし、フィルターのかかったリズムマシンとベースシンセが絡み、その上をブラスが踊っている。

これだけ書くとブラックミュージックだが、個人的には最初のストリングなどは日本人的な旋律であり、単なるブラックミュージックにとどまっていない。

このかっこいいトラックの上に日本語（怪しげな歌詞であるw）が乗っているのが新鮮である。

ドラムパターンはほぼ一緒で、悪く言えば単調かもしれないが、気にいると無意識に乗ってしまうような曲である。ぜひご賞味を。

音を集めて